●HOME >  疾患紹介「高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)」

高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)

  • 疾患のご紹介
  • 診療フローチャート

●患者数

本邦では6症例で診断が確定しており、10名程度の潜在患者が予想される。

●概要

コレステロール生合成経路に関わるメバロン酸キナーゼ(MK)の活性低下により発症する周期性発熱症候群である。残存MK活性により、先天奇形や精神発達遅滞などの神経学的症状を伴う重症型のメバロン酸尿症(酵素活性1%未満)と、軽症型である高IgD症候群(同1-10%)とに分類され、両疾患を連続性のあるメバロン酸キナーゼ欠損症(MKD)として捉えるのが現在の主流である。欧州からの報告が多く、血清IgD値が高値である例が多い事が疾患名の由来であるが、本邦での症例では初診時にIgDの上昇を認めない事が多く、診断には注意を要する。

●原因の解明

コレステロール生合成に関わるメバロン酸キナーゼ(MK)の機能低下が原因であり、メバロン酸キナーゼ遺伝子の異常による常染色体劣性遺伝形式をとる。メバロン酸キナーゼ(MK)の機能低下が周期性発熱を引き起こす分子機構に関しては、未だに不明な点が多い。

メバロン酸キナーゼ欠損症ではメバロン酸蓄積と下流代謝産物の欠乏が生じる
メバロン酸の蓄積とSmall GTPaseの活性低下によるIL-1β産生増加が炎症を惹起すると推定されている

●主な症状

乳児期より始まる周期性発熱発作が大きな特徴であり、発作の持続期間は4~6日が多く、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、リンパ節腫脹等を伴う事が多い。その他、肝脾腫、発疹、関節痛、アフタ性口内炎を伴う事もある。海外からの報告では、80%以上の症例で血清IgD値の上昇を認めるとされるが、本邦での診断例の殆どで初診時の血清IgD値は正常である。診断には、発熱時尿中メバロン酸測定が有用である。

メバロン酸キナーゼ活性と発熱時尿中メバロン酸測定が診断に有用である

●主な合併症

腹膜炎に続発する腹腔内癒着、関節拘縮、アミロイドーシスなどが認められ、重症例では精神発達遅滞や痙攣を合併する症例も存在する。又、乳児期からの発熱発作による学習の遅れも半数の症例で認められ、社会的機能への障害も認められる。

●主な治療法

本疾患の具体的治療指針は未だ定まっていないが、発作時の副腎皮質ホルモンの短期的全身投与が多くの症例で有効とされており、メバロン酸の合成に関わるHMG-CoA還元酵素を阻害するスタチンも一定の患者に対して有効である。近年、抗IL-1製剤であるアナキンラや抗TNF-α製剤であるエタネルセプトの有効例が報告されている。根治療法としての造血幹細胞移植も海外では報告されている。

●担当

河合 朋樹、平家 俊男

  • 疾患のご紹介
  • 診療フローチャート